「コロナ第10波」と言われる現状です。昨日地元の休日診療所当番で出勤し、30数名にコロナ・インフル検査を実施いたしましたところ、8割前後いずれか陽性(コロナ>インフルA>インフルB)でした。陽性率が高いと地域流行中とされますので、現在横浜市は地域流行中とみられます。
ニュースでご存じの通り、2022年はBA1~BA4/5、2023年はXBB~EG.5.1(エリス)他、2024年はJN.1が流行の兆しを見せています。JN.1のような新興亜株に対して、2024.3月まで受けられるXBB 1価ワクチンは有効なのでしょうか。WHOは下記文献を根拠にその有効性を認めています。
XBB.1.5 monovalent mRNA vaccine booster elicits robust neutralizing antibodies against emerging SARS-CoV-2 variants (biorxiv.org)
「XBB.1.5 1価ワクチンブースターは新興SARS-CoV-2亜株に対する中和抗体価を著明に増加させる」 以後いつものように抜粋・提示いたします。
アジアの新規感染の40%がHK.3、ヨーロッパではJD.1.1、BA.2.86、JN.1がそれぞれ6.5%、4.1%、11.8%、北アメリカの34%がHV.1 と新興亜株が拡大しています
(ちなみに国立感染症研究所感染症疫学センター報告では「2024.1/1~1/7のゲノムサーベイランスではJN.1系統が最も多い」COVID-19_2024w02.pdf (niid.go.jp))
HV.1、HK.3、JD.1.1はXBB系統(C)、JN.1はBA2.86がわずかに変異したもの(D)です

リアルワールドでのワクチン効果を見るため、野生株ワクチン3~4回・BA.5 2価ワクチン1回接種を受けた60人を対象としました。3つのコホート:
1)新型コロナ未感染+XBB.1.5 1価ワクチン(“XBB.1.5MV”)(B)
2)最近のXBB既感染+XBB.1.5ワクチン接種なし(“XBB infx”)(C)
3)オミクロン既感染+XBB.1.5ワクチン(“Omicron infx+XBB.1.5MV”)(D)
さらに3)を2023年以前の感染(XBBより前のオミクロン感染)と2023.2月以降の感染(XBB感染)の亜群に分けました。
各亜株(D614G、BA.5、XBB.1.5、EG.5.1、HV.1、HK.3、JD.1.1、JN.1)に対するVSV偽ウイルスを作製し、各コホートについてワクチン投与前後の中和抗体価を測定しました。
※
1)D614Gに対する中和ID50(50%阻止濃度);2倍、BA.5;6.8倍に上昇しました
XBB.1.5、EG.5.1、HV.1、HK.3、JD.1.1、JN.1;13.3~27.6倍でより上昇しました
2)D614G;3.0倍、BA.5;7.1倍、XBB.1.5以降;13.4~28.6倍
3)予想通り最大の抗体価でしたが上昇自体は大きくありませんでした。ワクチン投与前、既感染によりすでに抗体価が高かったことが理由です。D614GやBA.5に比べXBB.1.5以降の亜株における上昇が大きかったことは注目すべきと考えられました。既感染の時期(以前のオミクロンかXBBか)による有意差はありませんでした(下図)。

※XBB.1.5 1価ワクチン接種後の中和抗体価ID50は、D614Gが最大(6,088~22,978)、次いでBA.5(3,121~15,948)でした。XBB.1.5はBA.5に比べると3.1~5.6分の1、EG.5.1に比べるとわずかに良い感受性(1.0~1.2倍)を示しました。新興亜株HV.1、HK.3、JD.1.1はほぼ同様で、XBB.1.5に比べ1.9~2.8分の1の感受性でした。JN.1は最も低い中和抗体価でありXBB.1.5に比べ2.9~4.3分の1でしたが、全ての亜株に対してXBB.1.5ワクチンまたは感染によって中和抗体価がかなり上昇したことは重要と考えられました。
モデルナ、ファイザーによる違いは見られませんでした。

XBB.1.5 1価ワクチンにより、XBB.1.5よりD614G、BA.5に対する中和抗体価が高くなったことは“バックブースティング”(過去のワクチン接種により遭遇(「戻る」)した抗原に対する抗体価の増加と考えられます。このため、我々のBA.5 2価ワクチンブースター過去データと、今回と同じ方法で比較しました。するとBA.5ワクチン2回接種後のD614Gに対するBA.5の抗体価は同等(2.0 vs 2.6倍、下図B)でしたが、XBB.1.5接種(下図C)またはXBBブレークスルー感染後(下図D)のXBB.1.5抗体価は著明に高かった(それぞれ27.0倍、28.6倍。D614Gに対してはそれぞれ3.2倍、3.0倍)このことよりXBB.1.5 1価ワクチンの「免疫学的刷り込み」はより軽く(過去の2価ワクチンに比べてバックブースティングの影響が少ない)現在の新興亜株に対する効果がより高いと考えられました。

まとめると
・2024年はさらなる新興亜株(日本ではJN.1)が増加しています
・これらに対するXBB.1.5 1価ワクチンは祖先株に比べれば中和抗体価は低いが、以前の2価ワクチンに比べて新興株に対する効果がより期待できます
XBB.1.5 1価ワクチン無料接種期間は2024.3/31までと決められています。お早めの接種をお勧めいたします。コロナウイルスは弱毒化してきたと言われますが、市内病院ではワクチン未接種者が入院するケースが昨年もみられており、また未接種者は後遺症を発症しやすいため、接種回数が少ない方は接種されることをを特にお勧めいたします。新型コロナウイルスワクチン接種について(特設ページ) 横浜市 (yokohama.lg.jp)
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