10月に始まる新ワクチンの効果
2024.10月から65歳以上と60~64歳で1級相当高リスクのある方を対象とするJN.1スパイクタンパク由来の新型コロナワクチン定期接種が始まります。
系統樹的にはJN.1亜株は現在日本で流行中のKP.3、アメリカで流行中のKP.3.1.1の上流であることがわかります。2023年の前コロナワクチンは別系統のXBB.1.5由来でした。
東京都のオミクロン流行株解析;9月末まで「KP.3」が主流
6月5日ファイザー社発表のマウスによる臨床前データでは、JN.1ワクチンは前ワクチンのXBB.1.5ワクチンよりKP.3亜株に対して高い中和抗体価を示しています。
9月24日Lancet Infectious DiseaseにドイツからJN.1ワクチンのヒト接種後抗体価データが出たので抜粋します。医療従事者42人(年齢中央値47歳、男性48%)で平均ワクチン接種回数4.5回、ワクチン接種者41人中36人(88%)が1回以上COVID-19罹患し、42人中41人(98%)がオミクロン抗原に暴露されているハイブリッド免疫保有率が高い集団での研究です。
接種後13日で血清中和能を偽ウイルスアッセイ(水泡性口内炎ウイルスをベースとした)で評価したところ、全接種者で流行株の中和抗体価を強化しました。XBB.1.5、KP.3は有意な上昇ではないと記載されていますが、XBB.1.5は投与前値が高いため増加に乏しく、KP.3は上昇傾向は認められます。
考察として、今回対象者の多くがオミクロン関連ハイブリッド免疫を持っていたため、JN.1ワクチンによって惹起された液性免疫(抗体価)の質・量に影響した可能性があり、その他の集団の代表とは言えないかもしれないと述べています。最後のFig.Cの左側(before booster)の通り、過去のワクチン+COVID-19感染だけでは現在流行中のKP.3亜株などへの抗体価は不十分であり、JN-1由来新ワクチン接種が重症化予防・後遺症減少のため必要と思われます。
Humoral immunity after mRNA SARS-CoV-2 omicron JN.1 vaccination - The Lancet Infectious Diseases
PowerPoint プレゼンテーション (tokyo.lg.jp)
CDC COVID Data Tracker: Variant Proportions
« コロナ後遺症は減ってきたが、かなりいます | トップページ | 流行してきたXEC亜株に対する現行「JN.1」ワクチンの効果 »
「健康」カテゴリの記事
- 流行してきたXEC亜株に対する現行「JN.1」ワクチンの効果(2024.11.24)
- 10月に始まる新ワクチンの効果(2024.10.01)
- コロナ後遺症は減ってきたが、かなりいます(2024.08.14)
- 建物内のCOVID-19予防について(CDCより抜粋)(2024.07.02)
- XBB 1価ワクチンは現在の流行株にも有効(2024.01.29)
« コロナ後遺症は減ってきたが、かなりいます | トップページ | 流行してきたXEC亜株に対する現行「JN.1」ワクチンの効果 »
コメント